地球の神秘を伝え続ける写真家、高砂淳二さんが贈る “No Rain, No Rainbow”。海や森の生き物、色とりどりの花々や虹など、自然の魅力を余すところなく捉えた作品と共に、皆さんを新たな冒 険へ誘います。地球の息吹を感じ、美しさを知り、共に学んでいきましょう。

No Rain, No Rainbow
宇宙の中の僕ら

3月3日に皆既月食があった。残念ながら関東は雨で見られなかったが、雲の上では神秘的な宇宙ショーが起こっていたはずだ。太陽は月の400倍大きいが、月よりも400倍遠い所にあるので、地球から見た月と太陽はきっちり同じ大きさに見える。月の自転と、月が地球の周りを回る周期がぴったり同じだから、いつも月の同じ面が地球を向いている。そんな不思議を思うと、心はいつも宇宙旅行を始めてしまう。
地球は太陽の周りを1年かけて周る。その間に太陽光の当たり方が変わり、花が咲いたり、魚が回遊したり、雪が降ったりと、地球に季節ができる。また、月と太陽の引力が地球の水を引っ張って潮の干満を引き起こし、海の生物たちの産卵行動をはじめ、動植物にいろんな影響を与えている。昔から世界各地で、月の満ち欠けを基準にした独自のカレンダーを作り、種まきや収穫、漁業などが行われてきたのも、それぞれの種のリズムや収穫の質を考えてのことだ。
人体の2/3ほどが水で出来ていることを考えると、動植物だけでなく、僕らも月の引力に影響を受けていても不思議ではないだろう。しかも体の水分以外の部分を多く構成する炭素が、元々は太陽による光合成でできたものであることを思うと、体内に宇宙のはたらきを感じるような気さえしてくる。なかなか心の宇宙旅行は止まらない。

 

Model: Kaoruko Inou

高砂淳二 Junji Takasago

写真家。1962年、宮城県石巻市生まれ。熱帯から極地まで、地球そのものをフィールドに撮影活動を続けている。国内外で写真展多数開催。TBS「情熱大陸」、NHK「スイッチ・インタビュー」をはじめ、テレビ、ラジオ、雑誌等のメディアや講演会などで、自然の大切さ、自然と人間の関係性、人間の地球上での役割などを幅広く伝え続けている。「この惑星(ほし)の声を聴く」「night rainbow」「PLANET OF WATER」など、30冊あまりの著書を発表。ロンドン自然史博物館「Wildlife Photographer of the Year 2022」自然芸術部門で最優秀賞を受賞。海の環境NPO法人OWS(The Oceanic Wildlife Society)理事。

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高砂淳二 Junji Takasago