地球の神秘を伝え続ける写真家、高砂淳二さんが贈る “No Rain, No Rainbow”。海や森の生き物、色とりどりの花々や虹など、自然の魅力を余すところなく捉えた作品と共に、皆さんを新たな冒 険へ誘います。地球の息吹を感じ、美しさを知り、共に学んでいきましょう。
No Rain, No Rainbow
大地という家族
大地や川がコンクリで覆われていても、心が痛む人はあまりいないかもしれない。魚が切り身になってスーパーで並んでいても、魚に対して、“ごめんねー”、という気持ちを抱く人も少ないに違いない。
でも北米やハワイなどの先住民の人たちはそうではなかったようだ。かれらはもともと、大地や海はかれらの母、そしてそこで暮らす生き物たちは兄弟姉妹、といった具合に、周りの自然をまるで大事な家族のようにとらえてきたのだ。
そんなかれらと一緒にいると、大地にお供え物をして感謝を伝えたり、岩に額を当てて敬意を表したり、ウミガメを見て、「海の兄弟よ!」と感動を露わにしたりと、僕らとはまったく違った感覚をもっていることにいつも驚かされる。
そんな発想はナンセンスだと思う人もいるだろう。でも実際、食べ物も飲み物も、もともとはみな大地から生まれ出るものだし、大地が健全でなければ僕らは生きていけないのだ。だからこそ破壊してしまわないよう家族のように大切にしてきたのだろう。
この感覚は、糧になってくれた生き物の碑を作って供養してきた日本人の発想にも共通するものでもある。スーパーに並ぶ魚を見て、有難う、と思う気持ちや、コンクリで固められた大地に対して、息苦しいだろうな、と思う感覚が思い出せれば、食料廃棄や森林伐採などの問題も、感覚として答えが見えてくる気がする。
高砂淳二 Junji Takasago
写真家。1962年、宮城県石巻市生まれ。熱帯から極地まで、地球そのものをフィールドに撮影活動を続けている。国内外で写真展多数開催。TBS「情熱大陸」、NHK「スイッチ・インタビュー」をはじめ、テレビ、ラジオ、雑誌等のメディアや講演会などで、自然の大切さ、自然と人間の関係性、人間の地球上での役割などを幅広く伝え続けている。「この惑星(ほし)の声を聴く」「night rainbow」「PLANET OF WATER」など、30冊あまりの著書を発表。ロンドン自然史博物館「Wildlife Photographer of the Year 2022」自然芸術部門で最優秀賞を受賞。海の環境NPO法人OWS(The Oceanic Wildlife Society)理事。