地球の神秘を伝え続ける写真家、高砂淳二さんが贈る “No Rain, No Rainbow”。海や森の生き物、色とりどりの花々や虹など、自然の魅力を余すところなく捉えた作品と共に、皆さんを新たな冒 険へ誘います。地球の息吹を感じ、美しさを知り、共に学んでいきましょう。

No Rain, No Rainbow
植物プラネット

猫の額ほどの隙間に地植えした植物たちが、今や切っても切っても追いつかないほどになり、植物の旺盛な繁殖力にあらためて驚いている。ちょっと油断すると、その枝は我が家の雨どいを伝い屋根を覆おうとするし、また隣の木々にも触手を伸ばし、地道だが確実な生命力で陣地を広げようと企てている。ちょっとした空き地にどこからともなく種が運ばれ、あっという間に植物がはびこっていくことを思っても、この大地には、植物を常に繁茂させよう、という大きな意思があるに違いないといつも思う。

 

この地球上の生物の量を重さで比べてみると、なんと植物が82%で、次に細菌類の13%、動物はたったの0.4%しかなく、僕ら人間に至っては0.01%しかないのだという。地球上の生物はみな、実は植物が作り出す有機物を直接あるいは間接的に取り込むことでしか生きられないことを考えても、僕ら人間が地球のヌシなのではなく、一見おとなしく動かない植物たちが、実はこの地球を回している主人公なのだということがわかる。すべてのおおもととなる植物を元気にして地球を健全に回すべく、天と地(太陽と大地)は植物にエネルギーを与え続けているかもしれない。

 

高砂淳二 Junji Takasago

写真家。1962年、宮城県石巻市生まれ。熱帯から極地まで、地球そのものをフィールドに撮影活動を続けている。国内外で写真展多数開催。TBS「情熱大陸」、NHK「スイッチ・インタビュー」をはじめ、テレビ、ラジオ、雑誌等のメディアや講演会などで、自然の大切さ、自然と人間の関係性、人間の地球上での役割などを幅広く伝え続けている。「この惑星(ほし)の声を聴く」「night rainbow」「PLANET OF WATER」など、30冊あまりの著書を発表。ロンドン自然史博物館「Wildlife Photographer of the Year 2022」自然芸術部門で最優秀賞を受賞。海の環境NPO法人OWS(The Oceanic Wildlife Society)理事。

HP

高砂淳二 Junji Takasago