Unpackage
脱・過剰包装
世界的に評価される日本の食べ物や化粧品。コンビニやドラッグストアなどで、海外の人がお土産に沢山買っている光景を、皆さんも見たことがあるかもしれません。ここLAでも、日本のお菓子はとても人気で、ギフトにすると必ず「見た目も美しくて、美味しい!」と凄く喜ばれます。
ただ、それと同時に聞こえてくるのが「包装がすごいね。」というリアクション。確かに、日本の包装はとっても丁寧。作る側の心遣いや、敬意が感じられる誇らしい文化ではあるけれど、よく見てみると何層ものビニールやプラスチック、箱に包装され、見た目は完璧でも、必要以上のゴミになってしまうのも事実。一方で、海外の包装はサイズが巨大でザックリな印象。サイズ感も素材感も大胆で簡潔ではあるけど、やっぱりどちらも、どこか“過剰”。
今や、私たちの購入するものの殆どは、“包装とセット”でしか手に入らない。そしてそれら包装は、市場争いの中で過剰化していく一方。「いったいこのままで良いのだろうか?」と思ってしまった私。
そこで今回は、“過剰包装”について、皆さんと少し立ち止まって考えてみたいと思います。
Chapter
01
過剰包装のリアル
今、世界で使われているプラスチック包装は、全プラスチックゴミの約半分を占めると言われています。
地球上にはプラスチックを分解できるバクテリアが存在しないため、人類がこれまで製造したプラスチックの90%以上は、消えることなく未だ地球に存在しています。焼却すれば有害物質が発生してしまい、埋めても生分解されず劣化と共に有害物質を放出する。つまり、日々私たちが何も気にせず開封し、すぐに捨てているプラスチック包装は、そのまま環境汚染の原因の1つとして地球に蓄積されているわけなのです。
加えて、最近問題になっている “ナノプラスチック” 。マイクロプラスチックのサブカテゴリーであるナノプラスチックは、肉眼では見えない極小サイズのプラスチックで、埋められたプラスチックごみから大地に浸透し、作物や飲み水に入り込んでいるそう。さらに問題視されているのが、このナノプラスチックが包装からも食品や飲料に溶け出しているという新事実。これらは人の胚や脳細胞、血液や腸にも入り込んでいることが確認されています。
もはや包装の問題は、地球環境だけでなく、私たち自身の健康問題でもあるのです。


「じゃあ紙包装ならエコなのでは?」と思いますよね。残念ながら、実はそう単純でもありません。紙包装や紙袋は有機的なイメージから、エコな印象を無意識に受けてしまいがちですが、世界で製造される紙の50%以上は “包装のためだけ” に作られています。紙包装は森林伐採につながるだけでなく、紙の多くは内側にプラスチックコーティングが施され、リサイクルできないものがほとんど。加えて、外側包装はエコな印象にするため紙素材、けれど内部には更なるプラスチック包装で梱包されているー といったダブル包装の商品も少なくはありません。
明らかに持続可能ではないのに過剰包装がなくならない理由は、見た目、運搬や店頭での扱い易さ、エコ素材へスイッチするコストへの懸念。つまり、“市場の都合” が優先されているから。
だけど、開封した瞬間に役目を終える包装のために、膨大な資源が使われ、私たちの健康が害されてしまっている現実が、実はあるのです。
02
re_grocery-“包装しない” 提案
そんな状況の中、LAで新しい選択肢を提案しているお店があります。






買い物をするけど、ゴミはゼロ。
そんな体験を通して、「こんな買い方もあるんだ」と気づかせてくれるのが、このお店の魅力です。彼らの理念は、過剰包装されたものを買うしかなかった消費者に、“もうひとつの選択肢” を提示すること。この小さな試みは、未来の「新しい当たり前」につながる、大きな一歩のように思います。
03
私たちにできること
もちろん、すべてを “詰替え可能” に置き換えるのは簡単ではありませんし、皆が“re-grocery”のようなお店にアクセスがあるわけでも無い。でも、意識を少し変えるだけで、私たちにも直ぐに始められることはたくさんあります。
たとえば初めの1歩として、まずは自分のゴミを見直してみる。皆さんのお家は、どんなゴミが一番多いですか? ペットボトル? コンビニやスーパーのプラスチック容器?
ペットボトルが多ければ、マイボトルを持つ。ポリ袋ならマイバッグを使う。コスメの容器なら、できるだけ詰め替え可能なものを選ぶ。オンライン発送のゴミなら、出来るだけ実店舗に行くようにする。など、何に一番消費しているのか? 自分の出すゴミに “気づく” ことで、次の一歩が見えるはず。そして、こういった小さな行動の積み重ねは、確実に未来を変えていきます。
「選ぶ」ことは、メッセージを発信すること。
企業は、消費者が “何を選択するか?” を軸に動くのだから、私たちの「これがいい!」という選択が、次への提案となり、たとえエコ包装へのシフトにコスト上昇が伴ったとしても、それらは “意味のある投資” として受け入れられ、いずれ “当たり前” になるはず。
世界は、日本の文化・物を見ています。だからこそ、過剰包装大国といわれる日本が、地球に優しい “新しい包装のあり方” を生み出せたらー きっと世界はすぐに目を向けて、日本から学ぶはず。
大きな変化も、私たち一人ひとりの小さな意識から。
クリスマスショッピングシーズンを前に、ぜひ皆さんも、自分なりの“Unpackage(脱・過剰包装)” を始めてみませんか?
Photos by: SSNRS
Reporter : ROSE
LA在住のNeutralist(ニュートラリスト)。運動、食、遊び、ファッション、日々の生活を通して自身が「心地よい状態」でいられる事を目指しています。
ヨガインストラクター World Yoga Alliance YTT200認定。Yinヨガ認定インストラクター。